アクティブシニアのための心臓病読本
第 7 章 が ん
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抗がん剤による心不全 たしかに心臓自体はがんになりにくいですが、いろいろながんと 心臓病は意外とかかわりがあることが最近になって分かってきまし た。がんと心臓病との相互関係に関する学問領域を腫瘍循環器学 (Onco-Cardiology)または循環器腫瘍学(Cardio-Oncology)と 呼びます。それでは具体的にがんと心臓病とのかかわりをみていきま しょう。 がんの薬物治療を化学療法といいますが、その進歩は目覚ましく、 最近では数々の分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が登場して います。みなさんも一度は聞かれたことがあると思います。分子標的 薬はがん細胞をピンポイントで死滅させる薬剤、免疫チェックポイン ト阻害薬はがんに対する免疫のブレーキをなくして、再びがんに対す る免疫力を高める薬剤です。今までの抗がん剤ががん細胞だけでなく
と心
臓
病
の
意
外
な
関係
図1 抗がん剤による心筋障害(アントラサイクリンが代表的)
心筋細胞
抗
が
ん
剤
がん細胞
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