アクティブシニアのための心臓病読本

管内の水分量を調節するホルモンもあちこちから分泌されて、循環す る血液量を増やして心拍出量を正常に保とうとします。これらのバッ クアップ機構は短期的には重要ですが、長い目でみると心臓にも腎臓 にも負担をかけてしまいます。逆に心臓からは腎臓に利尿を促すホル モンが分泌されています。これはナトリウム利尿ホルモンといわれ、 心不全の診断や治療に利用されています。 一方で腎臓のはたらきが落ちてくると貧血が生じます。貧血では全 身へ酸素を運搬する効率が悪くなります。心臓は自身も酸素をもらい にくくなるにも関わらず、無理をして全身に血液を送り出すことにな りますから、慢性腎臓病では心機能も落ちやすくなります。そこで最 近では心腎連関でなく、心・腎・貧血連関という言葉さえあります。 心臓と腎臓は貧血を通してもお互いにトラブルを起こしているといえ ます 図1 。慢性腎臓病と心不全はともに食事療法や運動療法が大切 です 図2 。また最近では慢性腎臓病にも心不全にも双方に効果が期 待されるお薬が登場してきました。慢性腎臓病による貧血に有効な飲 み薬もあります。現在は患者さんの日常生活をサポートしてくれる腎 臓病療養指導士や心不全療養指導士がいますので頼りになる存在です。 お気軽に相談してみて下さい。

【血液の流れによる悪影響】

図1 心腎連関

腎動脈:腎臓への血流量↓ 腎静脈:腎静脈の血圧↑ 利尿作用(Na利尿ホルモン) 【尿量を介する影響】 抗利尿作用(体液量の増加) レニン、アンギオテンシン アルドステロン、バゾプレシン ⎧ | ⎩ ⎫ | ⎭

心不全

腎不全

【貧血による悪影響】

腎性貧血

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