アクティブシニアのための心臓病読本
第 6 章 腎 臓
図2 慢性腎臓病と心不全の共通のリスク因子
食 生 活 (塩分過剰) ス ト レ ス 喫 煙 過 体 重 脂質異常症 糖 尿 病 高 血 圧
と心
臓
の
複
雑
な
関
係
心不全
慢性腎臓病
まとめ 心臓と腎臓は密接な関係にあります。一方のはたらきが落ちると他 方のはたらきも落ちてきます。心臓と腎臓はともに自律神経の支配を 受けており、またお互いのはたらきに影響を与えるホルモンをそれぞ れが分泌しているからです。したがってどちらか一方の病気に気をつ けるのではなく、両方の臓器をセットにして健康管理を行うことが大 切といえます。 4 腎臓のはたらき具合を示す糸球体ろ過量(GFR)を正確に測るのは簡単ではあり ません。そこで長い間、腎臓のはたらきを示す指標として血清クレアチニン濃度が使 われてきました。クレアチニンとはヒトの筋肉の分解産物のひとつで、腎臓からしか 排泄されません。したがって腎臓のはたらきが悪くなると血液中のクレアチニン濃度 が上がることになります。しかし体の筋肉量は性や年齢で大きく異なります。女性や 筋肉量の少ない方は、腎臓のはたらきが悪くなっていても血清クレアチニン濃度はさ ほど上がりません。そこで日本腎臓学会は、血清クレアチニン濃度に性、年齢を考慮 した簡便な計算式を提唱し、eGFR値としてより正確に腎臓のはたらきを把握するこ とができるように提唱しました。 トリビア❶ eGFR値が必要になった背景
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