アクティブシニアのための心臓病読本

な健康診断書を発行するときも神経を使いました。デバイスを植え込 まれた方が避けるべき職場環境(高所や電磁波のある環境)や職種 (タクシーや公共交通機関などの職業運転)があるのも事実です。エ イジフレンドリーな職場環境が求められる昨今、シニア世代でデバイ スを植え込まれている方においても、同様の問題に遭遇する機会は増 えつつあります。運転免許の更新時の制限も関連する学術団体や患者 団体の努力で現在、欧米なみに緩和されています 表1 。多くの高齢 のデバイス患者にとっては日常的な電磁波障害が最も気になるところ でしょう。巷にあふれる電磁波に対して過度に敏感になる必要はあり ませんが、温泉地で電気風呂に入ったり、EV車に急速充電すること は控えましょう 表2 。 植え込み型除細動器(ICD)や心臓再同期療法(CRT)付きのICD (CRT-D)は心室頻拍や心室細動(第4章の 表1 参照)を感知して電 気ショックを落とします(適切作動)。このような危険な不整脈では 血圧が低下して患者さんは意識が遠のいていますから電気ショックも 自覚しません。しかしこれらのデバイスが洞頻脈や心房細動(第4章 表1 運転制限期間のまとめ 2003年 平成15年 2010年 平成22年 2015年 平成27年 2017年 平成29年 新規植込み (二次予防) 6か月 6か月 6か月 6か月 新規植込み (一次予防) 6か月 30日 30日 7日 ICD適切作動 12か月 12か月 12か月 3か月 ICD不適切作動* 12か月 12か月 意識障害ないなら 制限なし 意識障害ないなら 制限なし ICD交換 1-6か月 7日 7日 7日 リード交換 1-6か月 30日 30日 7日 *意識障害を伴うものは、ICD適切作動と同様の制限を行う。 「不整脈に起因する失神例の運転免許取得に関する診断書作成と適性検査施行の合同検討委員会ステートメント」改訂のための補遺

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