アクティブシニアのための心臓病読本
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植え込み型除細動器 心室頻拍や心室細動などの命にかかわる不整脈は、お薬による予 防には限界があります(第4章の 表1 参照)。そこで万一このような 危険な不整脈が起きたら、直ちにこれを感知して停止させる治療を 施さなければ心臓突然死を防ぐことはできません。このような目的 で体内に植え込まれるデバイスが植え込み型除細動器(implantable cardioverter-defibrillator: ICD)です。植え込み型除細動器には、 ①高頻度のペーシングを行うことで心室頻拍を停止させる機能 (抗頻拍ペーシング)、 ②電気ショックにより心室頻拍を停止させる機能 (カルディオバージョン: cardioversion)、 ③電気ショックで心室細動を停止させる機能 (電気的除細動: defibrillation) の三つの働きがあります 図3 。いわば小型で高性能のAEDを体内に 植え込んでいる状態にたとえられます。
図3 ICDの三つの電気治療
抗頻拍ペーシング:不整脈より少し速 い頻度で電気刺激をすることで不整脈 を停止させます。痛みはありません。 カルディオバージョン:抗頻拍ペーシ ングで停止できなかった場合、安全な タイミングで電気ショックを与えて心 室頻拍を停止させます。胸を叩かれた 感じがあります。 除細動:カルディオバージョンより強 い電気ショックで心室細動を停止させ ます。意識のない場合は治療に気づき ません。
頻 拍
抗頻拍ペーシング
正 常
頻 拍
カルディオ バージョン
正 常
細 動 除細動 除脈ペーシング 正 常
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