アクティブシニアのための心臓病読本

第 5 章 高 齢

図2 リードレスペースメーカー

者の

本体

(写真提供:メドトロニック)

そこで心房の興奮をつねに心房ペーシングによりコントロールして心 房細動の発生を抑える工夫を施したペースメーカーもあります。また ペースメーカーの心室リードの先端は右室内に留置されますが、心室 の興奮を右室ペーシング任せにすると心不全になりやすいことが最近 分かってきました。右室ペーシングでは、右室が先に興奮して左室の 興奮が遅れ、ひいては左室全体の収縮が同期しにくいためです。した がってペースメーカーの機能は温存しつつ極力自身の心室収縮を優先 させる機能が重視されるようになりました。 通常のペースメーカーは本体が肩口の皮下ポケットの中にあり、そ こからリードが心臓に達しています 図1 。しかし静脈を経由して心 臓内に留置する経静脈リードは、断線したり感染を起こしたり何かと 厄介です。そこでリードがなく、非常に小さなペースメーカーの本体 をそのまま心室内にカテーテル操作で植え込むリードレスペースメー カーが、最近わが国にも登場しています 図2 。ペースメーカーが必要 な全ての方がリードレスペースメーカーでも大丈夫という訳ではあり ませんが、高齢者のペースメーカー治療を考えると、リードレスペー スメーカーはこれから有力な選択肢になるのは間違いないでしょう。

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