アクティブシニアのための心臓病読本

図10 経カテーテル大動脈弁留置術

損なう大手術ですし、術後の体力の回復も遅れ、在院日数も長くな ります。そこで最近ではカテーテル手技によって僧帽弁閉鎖不全症 を治療したり(MitraClip)、大動脈弁狭窄症に対して人工弁を留置 したり(経カテーテル大動脈弁留置術、Transcatheter Aortic Valve Implantation:TAVI)することが可能になりました 図10 。特に大動 脈弁狭窄症はかなり進んでから診断されることが多く、狭心症や失神、 心不全を起こすようになるとその後の生命予後は限られるとされてい ます。そこで開胸下での大動脈弁置換術が困難な高齢者に対しても TAVIは比較的安全に行われる様になり、今後ますます普及して行くこ とが期待されます。心臓弁膜症は自分では気づきにくい病気です。疲 れやすいと「年だから無理をしないでおこう」と思ったり、症状を自 覚しない場合が少なくありません。第3章で述べたフレイルにも似た 紛らわしい病気です。これまで歩けた距離を歩いて息が切れたり、足 のむくみが目立ってきた時は、専門の医療機関を受診しましょう。

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