アクティブシニアのための心臓病読本

職に向いているともいえます。一方のタイプBはのんびりとマイペー スで内向的なタイプです。血液型の話ではありません。常に心臓を叱 咤激励して生活しているタイプAの人では、心臓の負担は相当なもの でしょう。ところがこれは日本人には必ずしも当てはまらないようで す。国民性や文化の違いが影響しているのかもしれません。一方で、 抑うつや絶望感、無力感などの否定的な感情を自身で抱え込む性格の 方が心臓や血管によくないことがわかってきました。東日本大震災の 避難所で虚血性心臓病が多発したことは良く知られています。抑うつ 状態では運動不足になったり、生活習慣が乱れやすいから、というの はよくある説明ですが、そればかりではありません。抑うつ状態は自 律神経のバランスを乱すので、心拍数は増加し、血圧は上昇します。 またストレスホルモンが過剰に分泌されますが、これは血圧を上昇さ せて、血管壁の緊張を高めます 図4 。またケガをした時に出血を止 めるはたらきをする血小板のはたらきがストレスによって活発になり ますから、血液中で血液の塊(血栓といいます)が出来やすくなりま す。これらは全て心臓に過度の負担をかけたり、心臓へ酸素や栄養を 補給するための冠動脈を通した血液循環を阻む方向にはたらきますか ら、虚血性心臓病が起こりやすくなります。

第 4 章 高 齢

者の

図4 抑うつ状態は心臓に無理をさせる

ストレスホルモンの増加 (コルチゾール) 自律神経のアンバランス (交感神経の活性化)

心拍数増加

血圧上昇 血管収縮

抑うつ状態

心臓への 負荷増大 心臓の 虚血

血栓の形成

血小板の活性化 生活習慣の悪化 運動不足・喫煙・ 飲酒・怠薬

体重増加

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