アクティブシニアのための心臓病読本

図3 冠動脈形成術

動脈硬化プラーク、 コレステロール ステント

ステントを 血管内に留置 ステント留置術

治療後

治療前 (狭窄病変)

バルーン拡張術

のダメージは可逆的で元に戻りますが、心筋梗塞では非可逆的で心筋 は壊死したままです。心筋梗塞が起きると突然、激しい胸痛が15分 以上続きますので、心筋梗塞では直ちに救急車を要請することが何よ り大切です。冠動脈が閉塞している時間が長いほど梗塞の範囲は広が ります。そこで心筋梗塞では、なるべく早くカテーテル治療により 冠動脈を再疎通することが必要です。閉塞した冠動脈をバルーンで 再疎通した後に、ステントを留置するのが最近の一般的な治療法で す 図3 。カテーテル治療が普及して心筋梗塞の救命率は大きく向上 しました。心筋梗塞の患者さんが救急病院へ到着(ドア)してから冠 動脈のカテーテル治療(バルーン)を始めるまでの時間(ドアトゥー バルーン)を重要視しているのはこういう理由からです。再疎通療法 までの時間が長くなると命を落としたり、救命できてもその後に不整 脈や心不全などの合併症が増えたり、社会復帰も遅れることになりま す。ステントを留置された方は、ステントが冠動脈に馴染むまでの期 間に、抗血小板薬(いわゆる血液サラサラのお薬)を内服してもらっ ています。治療法が進歩した今でも心筋梗塞は高齢者にとっては命に かかわる危険な病気です トリビア ❶ 。 虚血性心臓病の危険因子を述べましたが、性格や行動パターンも狭 心症や心筋梗塞に影響します。以前はタイプAと虚血性心臓病の関連 が米国で指摘されていました。タイプAとは活動的、攻撃的、挑戦的 な性格のことです。競争心や対抗心が強い一方で責任感も強く、管理

58

Made with FlippingBook Digital Publishing Software