アクティブシニアのための心臓病読本
下します。嚥下に必要な反射の機能も衰えます。このような嚥下機能 の低下は栄養状態を悪くして、誤嚥(ごえん)を招くことになります。 誤嚥性肺炎は嚥下機能が低下した状態で、食べ物や飲み物、唾液など が気管に入ることによって生じる肺炎です。免疫機能が低下したり、 栄養状態が悪い高齢者では、誤嚥性肺炎が重症化しやすく、命にかか わることもあります。誤嚥をおこすと普通はむせたり咳き込んだりし ますが、高齢者は誤嚥しても気が付かないことがあります。知らない 間に少量の誤嚥を繰り返していることがあります。このような誤嚥を 不顕性誤嚥といいます。先に述べたフレイルの高齢者では嚥下のはた らきや咬む力、唾液の出る量などが低下しており、オーラルフレイル という状態になっていることが多くあります 図6 。 嚥下機能の衰えはお薬の内服にも影響します。内服したと思ってい た錠剤が口の中やのどに残っていることがあります。そこで嚥下障害 のある高齢者向けに、最近では内服すると口の中でラムネ菓子のよう に溶ける口腔内崩壊錠(OD錠)が広がっています。口腔内崩壊錠は 水なしでも内服できますし、水に溶けやすく経管栄養チューブからで
表3 簡易オーラルフレイルチェック票
2点 2点 2点 1点 1点 はい いいえ
1.半年前と比べて堅い物が食べにくくなった。 2.お茶や汁物でむせることがある 3.義歯を入れている 4.口の乾きが気になる 5.半年前と比べて外出が少なくなった 6.さきイカ・たくあんくらいの堅いの食べ物を噛める 7.1日に2回以上歯を磨く 8.1年に1回以上歯医者さんに行く
1点 1点 1点
いくつ当てはまりますか? 合計0~2点でオーラルフレイルの危険性は低く、3点で危険性があり、4点以上 は危険性が高くなります。また1点上がるごとに4年後に要介護になるリスクが7%ずつ上がります。
(東京大学高齢社会総合研究機構 田中友規,飯島勝也)
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