アクティブシニアのための心臓病読本

骨粗しょう症 骨には、体を支え動かし、脳や心臓などの大切な臓器を守るほか に、生命を維持する重要な役割があります。それは血液を作り、カル シウムをたくわえる役割です。カルシウムは骨の材料になるだけでな く、全身の細胞が働くために必要なミネラルです。心臓が血液を送り 出すポンプとして働く上でも欠かすことのできないミネラルです。骨 のなかでは、新たに骨を作ろうとする細胞(骨芽細胞)と古い骨を壊 そうとする細胞(破骨細胞)がバランスを取っています。このバラン スが崩れて破骨細胞の力が強くなると骨はスカスカとなり、骨密度が 低くなります。また体内で必要なカルシウムの量はホルモンによって 調節されており、不足すると骨からカルシウムが溶け出して不足分を 補充します。したがって慢性的にカルシウムが不足すると、骨密度は 下がって、骨粗しょう症のリスクが高まります。 骨粗しょう症の原因には、確かに遺伝や性別、年齢など自分でコン トロールできないものもあります。歳を重ねるとどうしても骨を作る 力は弱くなります。特に女性は閉経後、ホルモンの影響で骨粗しょう 症になりやすくなります。しかし一方で、食生活(カルシウム、ビタ ミンD、ビタミンKの不足)や運動不足などの生活習慣も骨粗しょう 症に関与することが指摘されています。生活習慣病で増える内臓脂肪 も骨芽細胞を減らし、骨の新陳代謝を遅くして骨粗しょう症を進めま す。骨密度は多くの病院で測定することが出来ます。骨粗しょう症で 問題なのは骨折しやすくなるだけでなく、骨から溶け出したカルシウ ムが血管や大動脈弁に沈着して石灰化を起こすことです。それにより 動脈硬化が進んだり、大動脈弁狭窄症という心臓弁膜症が生じたりし ます(第4章)。現在、骨粗しょう症は、薬で治療できるようになっ てきました。しかし、まずは生活習慣の改善と定期的な骨密度の検査 4

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