アクティブシニアのための心臓病読本

サルコペニア 自宅や施設で介護を受けることは高齢者にとって他人ごとではあり ません。介護が必要になる大きな理由は身体の機能の衰えです。身体 の機能が衰えて活動量が低下する主な原因は、全身的な筋肉量が減少 して、筋力が低下するからです。残念ながら筋肉の量は年齢とともに 減っていきます。筋肉線維の数は70〜80歳台では20歳台の頃の半分 に減ります。筋肉量の減少が、低栄養をともなって死亡率を上げる状 態を最近では、サルコペニアとよんでいます。サルコペニアには、筋 力(握力)、身体測定(筋肉量)、身体機能(歩行速度)などの診断 基準があります 表1 。しかし「横断歩道を1回の青信号で渡れるかど うか?」である程度は診断することができます。サルコペニアは、早 めに見つけて適切に介入することで元に戻すことができます。サルコ ペニアを予防したり、改善するには第1章で述べた食事の工夫や運動 習慣がとても大切です トリビア ❷ 。 2

表1 サルコペニアの診断基準の一例 握力

男性:28kg未満、女性:18kg未満 歩行速度 0.8m/秒以下 (0.8m/秒以下では1回の信号で横断歩道を渡りきれない可能性) 身体測定 ふくらはぎの太さ:男性34 cm未満、女性33 cm未満 (サルコペニアの診断基準は欧米とアジアで異なり、 時代とともに変わっていくと思われます。)

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