アクティブシニアのための心臓病読本
心臓は主に脂肪酸、ブドウ糖、乳酸を栄養素として利用しています。空腹時 は脳が優先的にブドウ糖を利用して心臓は脂肪酸をエネルギー源にします。食 後は血糖が上がるため心臓もブドウ糖を利用します。運動後は骨格筋で生じた 乳酸も利用できます。このような心臓の栄養素の使い分けはインスリンによっ て行われますが、近年このインスリンの効き目が鈍ってしまうインスリン抵抗 性という状態が多くの生活習慣病でみられます。そうすると心臓は栄養素の臨 機応変な使い分けができずに、結果的に心臓のエネルギーコストが増大するこ とになります。その反面、インスリン抵抗性による体重増加や交感神経の活性 化、血圧や血液粘度の上昇などは心臓の仕事量を増やします。そのアンバラン スの結果、心臓の機能は低下して、後述する心不全という状態になることが指 摘されています。 トリビア ❺ 心臓の栄養素
だけ…… ブ ド
ウ糖
ブ
ド
ウ
糖 脂
肪
酸
乳 酸
脳は偏食(ブドウ糖しか食べない) 心臓は雑食(脂肪酸、ブドウ糖、乳酸を食べる)
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