アクティブシニアのための心臓病読本
最大運動時:全身の5~6%、150~160mℓ/分、安静時の約5倍 加齢により、ブドウ糖(グルコース)を利用する糖代謝(酸素が不十 分でもATPを産生できる解糖系)が脂質代謝より優位になってきます。 虚血(酸素の供給がゼロに近い状態)に対する有利な反応です。しか し、圧負荷には弱くなります トリビア ❺ 。 動脈硬化などで冠動脈が細くなったり血栓(血液の塊)により詰 まってくると血液は流れ難くなり、心筋細胞は酸素不足(虚血)にな り機能を失います。狭心症や心筋梗塞が発症します(第4章)。 運動により心臓の活動が亢進し酸素が多く必要になった時の酸素の 供給が不十分で起こる狭心症が労作性狭心症と呼ばれます。 有酸素代謝にはミトコンドリアが関与しますが、加齢によりミトコ ンドリア機能が減弱しますのでATP産生能は低下します。またミトコ ンドリア由来の活性酸素の生成が多くなりますので細胞障害も起こり 易くなります。高齢者での心臓機能低下の一因になっています。
第 2 章 心 臓
のし
く
み
と
は
た
ら
き
ホルモン分泌 心房からANP(心房性ナトリウ ム利尿ペプチド)、 心室からBNP (脳性ナトリウム利尿ペプチド)と いう組織ホルモンが分泌されます。 これらのホルモンは腎臓に作用し血 液中のナトリウムの尿中排泄を促し ます。血液(体液)中の余分なナト リウムを排泄しナトリウム量の恒常 性維持のために働いています。これ 7
Na利尿 ペプチド
ANP
BNP
水 Na
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