アクティブシニアのための心臓病読本
心臓への栄養補給 心臓が正常に働くためには、心筋細胞が自らエネルギーを造らねば なりません。このエネルギー産生に必要な酸素、電解質(ミネラル、 イオン)、糖やアミノ酸などの栄養物質、ビタミンなどは心臓を取り 巻く冠動脈から供給されます。 冠動脈の血流量は健常成人(心臓重量300gとして)で、 安静時:心拍出量の5%、およそ250mℓ/分です(1日360ℓ)。 最大運動時:心拍出量の4%でおよそ1000mℓ/分(安静時の約4倍) 高齢者では心拍出量が減少しますので冠血流量も減少します。 心筋機能に必要なエネルギー源(ATP)は脂肪酸、ブドウ糖や乳酸 から生成されます。成人では通常(安静時~空腹時)では60~70% は脂肪酸代謝により得られますが、運動などで心拍数が増加する時は ブドウ糖代謝、乳酸代謝からの供給も増えてきます。これらの代謝に は酸素が必要です(有酸素代謝)。 心臓での酸素消費量は、健常成人(心臓重量300gとして)で、 安静時:全身の約10%、30~35mℓ/分です(1日45~50ℓ)。 このように、運動強度が増加するにつれて心拍出量は増加しますが、 高齢者のそれは成人より弱くなり、成人と高齢者の差が大きくなりま す 図12 、 図13 。高齢者でも心拍出量は運動習慣によってその低下 は予防、改善されます 図15 。 心拍出量は身体器官の酸素需要量に応じて調節されています。そし て 心拍出量は身体器官の血流量や酸素消費量にも大きな影響を与え ますので トリビア ❹ 、心拍出量を健全に維持することは生命維持、 健康寿命の延伸にも重要なことです。 6
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