アクティブシニアのための心臓病読本

第 2 章 心臓 の しくみ と はたらき 原土井病院 顧問、福岡大学名誉教授 今永 一成 先生 心臓の病気のおはなしに行く前にヒトの心臓のつくりや、心臓が はたらくしくみについてみてみましょう。心臓は筋肉でできていま す。筋肉のかたまりといっていいでしょう。しかし心臓の各部分は 統率がとれて、リズミカルに協調して動いています。そうでないと 効率の良いポンプとは言えないでしょう。心臓が効率的なポンプと してはたらくためには、実は電気が必要です。複雑なつくりの心臓 は、電気を利用することで統率のとれた動きをしています。電気の おかげで、全身に血液を送り出すポンプとして律動的にはたらくこ とができるのです。また全身に送り出す血液の一部を心臓自身も受 け取ることでポンプに必要なエネルギーを作り出しています。 ヒトは生活のなかで眠ったり、くつろいだり、緊張したり、運動 したりします。心臓は昼夜を問わずはたらき続けていますが、から だが必要とする酸素や栄養の量は状況次第で違うはずです。これら がどのように調整されているのかは、ヒトの健康を知るうえでも大 切です。心臓はホルモンを分泌する内分泌器官であることも分かっ ています。また心臓はほかで分泌されたホルモンの影響を強く受け ています。これらの巧妙な仕組みが加齢によってどのように変化す るのかもみていきたいと思います。 …

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