アクティブシニアのための心臓病読本

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心臓の形 ヒトの心臓の重さは健常成人で200~300g(健常成人男性:およ そ280グラム、女性:およそ240グラム)程度で、その人の握りこぶ しの大きさです。高齢者でも重量はあまり変わりません。心臓を構成 する心筋細胞は年齢とともに若干少なくなりますが細胞が若干大きく なるからです。動脈硬化などで高血圧が長く続くと病的に心肥大が見 られます。病的な心肥大はレントゲン写真などでは心臓拡大として現 れ、心電図でも起電力の増大として現れます。 心臓は胸の真ん中(胸骨)より左に位置しています。心臓の尖端は 胸の前方を向き、心基底部が奥にあります。また正面側には右心房、 右心室があり、後方に左心房、左心室が位置しています。心臓の直ぐ 下には横隔膜があります 図1 、 図2 。 ヒトの心臓は左心房、左心室、右心房、右心室の4つの部屋から構 成されています。各部屋には血管が開いており血液が出入りします。 心臓に血液を送り込む血管を静脈、心臓から血液を送り出す血管を動 脈といいます。 酸素を充分含んだ動脈血が左心室より大動脈に拍出され末梢動脈を 通り全身の組織の毛細血管へ流れます。組織細胞は毛細血管から酸素 や栄養物を受け取りエネルギーの産生に使われます。そこで産生され る二酸化炭素(炭酸ガス)は排出され血液に入ります。二酸化炭素を 含んだ血液は静脈血となって集まり上・下大静脈より右心房へ還って いきます。右心房が収縮し血液は右心室へ、右心室が収縮し血液は肺 動脈を通り肺へ送られ、肺で二酸化炭素は離れ酸素と入れ替わります。 酸素を充分含んだ動脈血は肺静脈から左心房へ、左心房が収縮し左心 室へ流れ、左心室が収縮すると大動脈へ拍出され動脈血として全身へ 送られます。このように各室への血液の流れ込み、拍出は心房・心室

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