アクティブシニアのための心臓病読本

生活習慣病は 過去の悪習慣から起こる

第 1 章 高 齢

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者の

日本は戦後、医療の進歩や公衆衛生の増進、社会福祉の向上などで 結核などの伝染病や栄養失調で亡くなる人は大きく減りました。ちょ うど2022年、わが国は結核の中まん延国から低まん延国となりまし た トリビア❶ 。高度経済成長にともなって食べ物への欲望を簡単に 満足させることができるようになりました。お金を払えば好きなもの をいくらでも食べられるようになりました。その結果、糖尿病や心筋 梗塞が急速に増えていきました。文明や経済の発展が、必ずしも人を 幸福にしない、という現実を私たちは突きつけられました。当時、糖 尿病や心筋梗塞を総称した「成人病」という呼び名が広がりました。 最近では未成年でも立派な「成人病」の人はいます。そこで、「成 人病」をもっと分かりやすく「生活習慣病」にすることを主張された のは、日野原重明先生でした。これらの病気は、年齢を重ねると誰で もなる病気ではなく、過去の良くない生活習慣によってなる病気だか らです。良くない生活習慣とは、間違った食事のとり方や喫煙、アル

コールの飲み過ぎ、運動をしないこ となどです。良くない生活習慣を続 けても直ぐに生活習慣病になるわけ ではありません。糖尿病や高血圧、 脂質異常症は健康診断で見つかって も症状のない方がほとんどです。し かし10年20年とたつうちに動脈硬 化を引き起こして、突然に脳梗塞や 心筋梗塞が起きるわけです。生活習 慣病がサイレントキラーと言われる 理由はこういうところにあります。

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