アクティブシニアのための心臓病読本
心筋梗塞 心臓が全身に血液を送り出すポンプとして働くためには莫大なエネ ルギーが必要です。そのエネルギーは血液中にある十分な酸素や栄 養素を利用して作られています。そしてその血液を心臓へ運ぶ血管 は、大動脈の起始部から枝分かれして心臓を包み込むように走る冠動 脈と呼ばれる血管です 図1 。心臓をやしなう動脈で、まさに命綱と いえるでしょう。ところがこの冠動脈が動脈硬化を起こすと狭くなっ たり、時には閉塞することがあります。冠動脈が狭くなり(狭窄と呼 びます)、心臓への血流が不足して心筋が障害をきたす病気を狭心症 といいます。また冠動脈の閉塞により血流が無くなると心筋は部分的 に死に至ります(壊死(えし)といわれます)。このような病気を心 筋梗塞といいます 図2 。狭心症や心筋梗塞を合わせて虚血性心臓病 といいます。 多くの狭心症では労作時に胸痛が起きます。狭心症の胸痛は、広 1
図1 心臓を栄養する冠動脈
大動脈 右冠動脈
左冠動脈
左冠動脈 回旋枝 左冠動脈 前下行枝
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