アクティブシニアのための心臓病読本

第 3 章 高 齢

トリビア❷

サルコペニア・フレイルでの食事

高齢者の食事はあっさりとした低カロリーの献立になりがちです。さらにオーラル フレイルがあると噛む力も弱くなって軟らかいものばかり食べるようになります。確か に生活習慣病のある中高年の方には低カロリーで糖質を控えた食事がおすすめで す。低カロリー食は短期減量法としても効果があります。しかし高齢者のサルコペニ アやフレイルが増えて、これらが感染症・糖尿病 トリビア ❸ ・心臓病とも関係するこ

者の

とが明らかとなった現在、糖尿病の方に限らず高 齢者の方でも十分にとることをすすめられている 栄養素はタンパク質です。動物性タンパク質(お肉 や魚)と植物性タンパク質(豆腐や納豆)はバラン スよくとるように心がけましょう。腎機能が低下して いるために食事でタンパク質を制限されている方 を除けば、広く高齢者の方におすすめなのは高タ ンパク・低糖質食です。

トリビア❸

サルコペニアと糖尿病

従来、糖尿病は肥満者に多く、内臓脂肪が関係している生活習慣病の代表格でし た。しかし最近、わが国では人口の高齢化にともなって、サルコペニアの高齢者に糖 尿病が増加しています。肥満者に多い糖尿病がサルコペニアでみられることを不思 議に思われるかもしれません。高齢者ではインスリンの分泌が低下することに加え て、サルコペニアになると筋肉量や体重が減少します。筋肉は血液中の糖分をたくわ えるはたらきがあり、血糖を調節する役割があります。第1章で述べた血糖値スパイ クも防いでくれます。サルコペニアでは糖分をたくわえる筋肉の量が減るわけですか ら、血糖値も上がりやすくなって、糖尿病のリスクが高くなります。さらにインスリンは 筋肉を維持するうえでも重要です。筋肉にはたらくインスリンが不足するとサルコペ ニアも進行します。高齢者のサルコペニアと糖尿病の両方をセットで予防するには、 タンパク質の豊富な食事と運動習慣の組み合わせがとても大切なのです。

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