アクティブシニアのための心臓病読本
まとめ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は医療や健康以外にも 広く社会や経済にいたるまでさまざまな問題を引き起こしました。一 方で新型コロナウイルス感染症が大流行しなければ見えなかったいろ いろな部分も見えてきました。現在はマスクの着用さえ個人の主体的 な判断が基本ですが、病院内は感染拡大防止対策としてマスクを着用 しましょう。新型コロナウイルスは心臓や血管にも侵入してさまざま な健康被害を引き起こします。心筋梗塞や心不全、心房細動などの不 整脈を引き起こし、また新型コロナウイルス感染症の流行期にはそれ らの心臓病の迅速で適切な治療が難しくなります。新型コロナウイル ス感染症に対するワクチンの感染予防や重症化予防の効果は明らかで す。糖尿病、心血管病、慢性腎臓病など基礎疾患のあるシニア世代の 方々は新型コロナウイルス感染症のハイリスクといえますので、今後 も勧奨にしたがったワクチン接種を受け、食生活や運動習慣により免 疫力を整えて、ポストコロナ時代を明るく元気に過ごしましょう。 6
新型コロナウイルス感染症による外出自粛や行動制限はシニア世代の認知機能 も直撃しました。聞き取り調査によれば、高齢者施設では家族の面会が禁止されたり 制限されたり、ボランティアの訪問が相次いで中止になったりしたことが、施設利用 者の認知機能の低下や身体活動量の低下に影響したようです。クラスターの発生を 危惧すれば、感染状況が多少は好転しても簡単には制限を緩和できない高齢者施 設に特有の事情もあったものと考えられます。 トリビア❶ 新型コロナウイルス感染症と認知症
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