アクティブシニアのための心臓病読本
ポリファーマシーの原因 お薬が処方される数や種類は患者さんそれぞれです。患者さんの病 気や生活環境によって違います。したがって何種類以上のお薬の処方 がポリファーマシーといえるのか、厳密な定義はありません。日本老 年医学会は処方されるお薬が6種類を超えると有害事象の発生頻度が 上がることを発表しています。有害事象とは、お薬を飲んでいる際に 起きた不都合な出来事の全てを指します。不都合な出来事にはもちろ んお薬の副作用も含まれますが、副作用よりもっと幅広い意味をもち ます トリビア ❶ 。私も初めての患者さんを診る際に、お薬手帳で 10種類以上のお薬が出されており、どういう経緯でそれらのお薬が 出ているのか分からずにモヤモヤしたものを感じることはよくありま す。大量の残薬を診察室に持って来られる患者さんもおられます。そ 1
図1 処方の連鎖
症状Aで受診
医療機関A
症状Aへの薬の処方(X薬)
X薬の有害事象で受診
医療機関B
X薬の有害事象への薬の処方(Y薬)
Y薬の有害事象で受診
医療機関C
Y薬の有害事象への薬の処方(Z薬)
医療機関D
重症化し、救急車で搬送
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