アクティブシニアのための心臓病読本
2 心拍の起原と心拍数 心臓は収縮と弛緩を繰り返し整ったリズムで拍動しています。拍動 を作り出す大元の部位は右心房の上大静脈が開く部位にあり、洞房結 節(発見者の名前でKeith-Flack node(1907)とも呼ばれます)と いわれます 図4 。この部の細胞は自動能(自発的に動く能力)が強く、 一定のリズムをもって心臓全体に伝わる刺激を作る心拍の起原になり、 この意味でペースメーカー(pacemaker)と呼ばれます。この部位 は自律神経(交感神経、副交感神経)の支配を受けており、この神経 によりリズム(心拍数)は調節されています。交感神経(放出される の弛緩・収縮によって行われます。左右の心房は同時に収縮・弛緩し、 左右の心室は同時に収縮・弛緩します。左右の心室は左右の心房収縮 より少し遅れて収縮します(時間差があります)。これが身体の血液 循環です。血液循環の中心は心臓であり心臓は血液の取り込み、拍出 というポンプの働きをしています 図3 。 右心房と右心室との境目(三尖弁)、右心室と肺動脈の境目(半月 弁、肺動脈弁)、左心房と左心室の境目(二尖弁、僧帽弁)、左心室 と大動脈の境目(半月弁、大動脈弁)には、それぞれ弁があります。 三尖弁、僧帽弁には乳頭筋からの多数の腱索が付着しています。これ らの弁は血液の逆流を防いでいます 図3 。 リウマチや細菌感染により、また加齢によりカルシウム(Ca)沈 着により弁の肥厚などが起こり開閉に支障をきたし(弁膜症)、血液 が心室に出入りする時血液の逆流が起こりますと、聴診により異常音 (雑音)が聞こえます。弁膜症により弁開閉障害が続くと心房や心室 に負担がかかることになり心臓機能に障害が惹起されます。
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