アクティブシニアのための心臓病読本

おわりに アクティブシニア世代の心臓病について考えてきました。最後まで お読みいただいてありがとうございます。心臓病と関係する生活習 慣病などの全身的な病気やサルコペニアやフレイル、骨粗しょう症、 さらには腎臓病やがんについても心臓病との関連で触れてきました。 少々脱線した部分もあったかも知れません。 各章はそれぞれある程度独立していますので、どの章からお読み頂 いても構いません。それぞれの章の最後にはまとめもお示ししました。 追加で説明が必要な箇所にはトリビアをはさみました。巻末には日本 語の参考文献を引用しました。健康長寿を目指されて健康的な生活を 送られている方、逆に現在の生活習慣や身体機能、将来的な心臓病を 心配されている方、実際に心臓病といわれて病院に通院されている方、 突然の心臓病で入院中の方や心臓リハビリテーションに励まれている 方など、全てのシルバーエイジの方々の参考になれば幸いです。 「ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学」(本川達雄 著, 中公 新書)によりますと哺乳類は種を問わず、その寿命は体重の1/4乗に 比例するようです。ネズミは数年、ゾウは70年近く生きるのには理 由があるわけです。ところがこれによりますと、ヒトの寿命はその体 重からすればおよそ26年程度になってしまいます。実際、古代の縄 文人の寿命は31年程度だったそうですし、戦前は日本人の寿命も50 年程度でした。それを考えますと、公衆衛生の発展や医療技術の進歩、 福祉の充実などにより現在、わが国が人生100年時代を迎えているこ とは、驚異的なことです。この長い人生をおまけの人生とするか、実 りある人生とするかはあなた次第です。せっかく頂いた大切な人生、 有意義で明るく健康的な生活を送り、生物学的な寿命ではなく、健康 寿命を全うしたいものです。

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